柴田 雅章 / Masaaki Shibata

土に水を加えたクリーム状の化粧土(スリップ、泥漿)で装飾して焼き上げる技法は古来より伝えられ、特に18世紀以降の英国でパイ皿などして使われる実用的な器「スリップウェア」として独自の発展を遂げましたが、その後、長らく顧みられることのない時代がありました。
ところが、それを目にした柳宗悦始め民藝運動の創始者たちの心を掴み、日本でそのスリップウェアが蘇ることとなったのです。
柴田雅章はそのスリップウェアの日本の第一人者と言えます。日本の六古窯のひとつである丹波で作陶する柴田。
江戸期の丹波焼には白と黒の化粧土を用いた技法がありましたが、研究の末、英国的スリップウェアを再現するための技法にたどり着き、独自の「灰釉スリップウェア」を生み出しました。
楽土庵では、館内でのしつらえに加え、レストラン「イルクリマ」のためにオリジナルの器やカップを制作いただきました。

柴田 雅章
中央大学理工学部で工業化学科に進学。
在学中に柳宗悦や河井寛次郎などの「民藝」の世界に出会い、その中で「古丹波焼」の深淵な魅力に引き込まれました。
卒業論文として、化学的なアプローチによる古丹波焼をテーマにした『古丹波の化学的研究』を記しますが、研究を進めるほどにその奥深さに魅了され、ついに大学卒業後は古丹波焼のふるさと兵庫県丹波篠山市の陶芸家・生田和孝さんに4年間薫陶を受け、1975年に独立。念願の登り窯を築きます。
そしてその数年後、学生時代から憧れていた英国の古陶「スリップウェア」を手に入れ、その後の作陶人生を大きく変えることになりました。

当時日本ではあまり知られていなかった「スリップウェア」の研究に取り組み、2003年の「英国の古陶・スリップウェアの美展」(大阪日本民芸館、豊田市民芸館、東京・日本民藝館)ではその開催に尽力。世界で初めて英国・スリップウェアの図録を制作し、その歴史や制作過程を納めたビデオも作成。
その後のスリップウェア技法の普及に貢献し、多くの陶芸家が制作するきっかけとなりました。

2001年 イギリス・ブラックウェルの国展工芸展開催 出品並びにセミナー講師参加
日本橋三越本店 阪急うめだ本店 他個展多数

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